
巨人の肩に乗れ
『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』
アイザック・ニュートンは、
「もし私が他の人よりも遠くを見ているとしたら、それは巨人の肩の上に立っているからだ」
と言って、自らの偉業が、先人たちの業績の上に成り立っていることを語った。
我々の成長を加速させたいなら、自らの経験よりも、むしろ歴史に学ぶべきである。
そして、他社が築いた技術の歴史もまた、学びの宝庫である。
しかし、他社の技術だけを学ぼうとするなら、誰も門戸を開いてはくれない。
自らに同等、またはそれ以上の価値があることを、他社に伝えられた時、初めて門戸は開かれるのだ。
8mが欲しい。 VS 直壁が欲しい。
土留め、擁壁工事は従来、我々コンクリート屋は、L型擁壁を使っていた。
これにより、容易に強固な直壁を築くことができた。
ただし、L型擁壁で築ける直壁は、せいぜい2,3m。
それ以上高い「直壁」へのアプローチは困難だった。
かたや、土木繊維資材メーカーの多くは、化学製品をベースにした補強土材を使ったアプローチを行っていた。
彼らは8mの壁を築く技術を持っていたが、その壁は「斜壁」だった。
我々コンクリートメーカーは、8mにアプローチすることが求められ、土木繊維資材メーカーは、直壁を築く技術が求められていた。

ゴールは同じでも・・・
お互いの存在が、相互に培ってきた技術の歴史を塗り替える可能性を認識しながらも、ものごとは遅々として進まないことがある。
ジョイント・ベンチャーと言えば聞こえはいいが、我々も、他社も、協業のメリットを十分に理解しながら、プロジェクトとして成立するには長い時間が必要だった。
プロジェクトが持ち上がり、数社が集まって検討し、試作までしながら、上市には至らなかった。
ジョイント・ベンチャーは、そのメリット以上に困難が伴うことを我々は思い知らされた。
自らの利益を忘れる
それでも、事が動くときには動く。
満を持したかのように、我々は動き始めた。
議事、会議から、製品開発を経て受注に至るまでのロードマップを敷き、プロジェクトを統率しれくれたのが、異業種である旭化成ジオテック殿。
とかく意見、行動がバラバラになりがちな異業種によるジョイント・ベンチャーが最後まで機能し、結果を残せたのは、彼らの統率力のおかげ。
そして、地元では抜群の営業力を持つ太陽コンクリート工業殿。
営業に加えて、素晴らしい行動力も発揮された。
線を引き、図面を描いても、作ってみなければわからないことは多い。
高級車1台分にもなる試作コストへの投資を、『いいよ、作ってみよう!』と快く引き受けていただいき、用地の貸与や組立にまで携わっていただいた太陽コンクリート工業経営陣には心から感謝している。
我々、千葉窯業は、このプロジェクトの設計から製造に至る、さまざまなプロセスで生じたトラブルの解決策提案とその実施に携わる。
昨日まで世の中に無かったものを生み出す課程では、予想を超える大小のトラブルが生じるが、我々は、新製品開発に慣れていたのだ。

名付けて『スクラムウォール』工法
補強土材にポリプロピレンを樹脂でカバーしたジオテクスタイルという素材を使い、これをコンクリート板から出る鉄筋と接合するという、まったく新たなアプローチから始まったこのジョイント・ベンチャーは、各社の製品ラインナップを強力に補完した。
我々は、お互いに望みながら、手にすることができなかった技術を、異なる技術と材料を結びつけることで実現した。
その後も、関東近辺で最も厳しい審査をうける地区でのVE(Value Engineering)提案の採用など、弊社の強力な製品として、大きな成果を生み出している。




